「尾道を描く」写生大会

第22回「尾道を描く」写生大会

事業名
第22回「尾道を描く」写生大会
審査日
平成29年8月8日(月)~10日(水)
大会会場
尾道市立美術館 尾道市市民会館 ほか
参加生徒数(校数)
198名(33校)
参加校
呉宮原,三次,賀茂,修大鈴峯女子,福山葦陽,加計,河内,吉田,熊野,県立広島,広島井口,市立福山,如水館,油木,安古市,高陽東,山陽,庄原実業,三次青陵,神辺旭,府中東,祇園北,近大付属福山,尾道東,福山商業,福山明王台,因島,暁の星,戸手,広島皆実,総合技術,廿日市,尾道商業

22回を数える本大会も例年と同じく200名を超える生徒が参加し開催されました。毎年のごとく夏の暑い日差しの中,開会式会場である尾道市立美術館に集まった生徒たちの目は意欲に燃え,夏の暑さがさらに増すかのように感じられました。

本大会では,生徒にとって描写やものの見方などの技術の向上はもちろん,尾道の地元の人や観光客の人とのふれあいや,多くの仲間や他校の先生との交流が人間的な成長に大きく貢献しています。周囲の生徒たちと切磋琢磨しあいながら制作し,最終日には大きな達成感を味わった生徒がほとんどではないでしょうか。

今回,最優秀賞を受賞した戸手高校3年 田村くるみさんの作品は,尾道の日常の一コマをありありと描いたような作品です。細い路地が描かれており,光と影が繊細に表現されています。両側の建物が迫ってくるような描き方も,まるで今自分自身が尾道の細い路地に迷い込んだかのように錯覚させるような非常に魅力的な作品です。

毎年このように充実した大会が行えますのも,参加生徒自身の意識の高さと,その生徒を指導し,大会の運営にさまざまな形で関わって下さった顧問の先生方のご尽力のおかげと感謝いたします。さらにこの大会の共催として美術館などの場所の提供や運営の面での細かなサポートをしていただいた尾道市立美術館様,道端で絵を描く生徒に優しくお声かけいただき,見守ってくださった尾道市の皆様に厚くお礼を申し上げます。

また来年以降もこの大会を盛り上げ,さらに発展させるために皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

大会運営委員長 藤井 啓二
(広島県立府中東高等学校)

最優秀賞

戸手 3年 田村くるみ

優秀賞

広島皆実 2年
長谷川健

福山明王台 1年
奥村真里奈

福山明王台 1年
塚本万理華

熊野 3年
井手元咲良

如水館 2年
飯島小雪

奨励賞

高陽東 2年
井上春菜

広島 2年
熊井彩乃

修大付属鈴峯女子 3年
茶木田佳奈

修大付属鈴峯女子 3年
中道ゆい

三次 1年
平野智与

尾道東 2年
井上花梨

如水館 2年
井出愛音

神辺旭 3年
上田鈴花

福山商業 3年
竹内琉菜

市立福山 2年
宮脇満穂

祇園北 1年
広田朋

因島 2年
中務日向子

福山葦陽 1年
小林真穂

福山明王台 2年
井上月伽

①『何度も挑戦する』 広島井口高校 2年 鶴 朋恵

 「尾道を描く」写生大会を通して私は,何度も挑戦する大切さを学びました。初めてこの大会に参加して,初めて3日間ずっと同じ景色を見ながら作品をつくって,私には初めてばかりの3日間でした。重い荷物を持って尾道へ向かう時,私は不安や緊張でいっぱいでした。でも真っ白なキャンバスとともに尾道を歩いた時,それまでの不安な気持ちは一切なくなり,これから挑戦していこうという気持ちが芽生えました。きっと尾道全体の空気がそうさせたのだと思います。冒頭で何度もと言ったように,私は何度も描き直しをしました。構図や配色,細かい所まで一から描き直したり,何度も悩んだり。それでも何度も諦めずに挑戦することができたのは,アドバイスや声をかけてくださった先生方,旅館など尾道の方々,友達,たくさんの人たちのおかげだと思っています。感謝しかありません。これから先,何度も諦めないで挑戦することを大切に日々努力していこうと思いました。



②『尾道写生大会を終えて』 加計高校 2年 横畠 樹里

 今回の大会では,とにかく時間が足りなかったなと思いました。

 去年もこの大会に参加したのですが,前回は,見たものをそのまま映しただけだったので,今回は,自分らしさを出しつつアレンジをしてみたいなという思いで描きました。前回も今回も,時間という点においては,反省ですが,自分なりのひと工夫はできたのではないかと思います。

 まず,今回の目的はネオンカラーっぽく仕上げたいと思っていました。そのため,場所選びには本当に時間がかかりました。尾道はレトロな感じがイメージだと思います。ですが,正反対のネオンカラーを入れたかったので,そのようなアレンジが出来そうな場所を選ぶのは本当に難しかったです。

 今回も,反省点はいくらかありますが,ちゃんと目的をもって実行することができたのが去年より成長した点だと思います。自分らしい絵を描くことを大切にこれからも頑張ります。



③『2年目の大会』 呉宮原高校 2年 奥村友香

 今年私は,2年目の尾道写生大会に出場しました。昨年は時間が足りず,自分の納得のいく作品を描くことができなくてすごく悔しい思いをしたので,今年はうまく描けなくてもせめて自分がやりきったと思えるような作品を描こうと思いました。私が絵を描くために選んだ場所は尾道の海でした。海岸沿いに止まっている大きな船の印象と尾道水道と有名なエメラルドグリーンの美しい海を絵で表現できれば良いなと思い,その海を描こうと決めました。

 最初はなかなか自分の思うように描けず苦戦したけれど,どんどんと塗っていくうちに自分がつけたいような色が入っていき,最後には今回の目標である,自分がやりきったと思えるような絵を完成させることができました。

 今回の大会では,また新たに多くの発見がありました。この経験は次の作品に生かせるようにしていこうと思います。



④『尾道の魅力』 広島皆実高校 2年 長谷川健

 私は尾道の写生をするにあたり,尾道の魅力は何処にあるのかについて考えて描き表しました。最初の1日目,その魅力を求めて私は様々な場所を訪れました。綺麗な海や川はもちろん,少し草木の生えた踏切や商店街など尾道には絵になる魅力的なスポットが沢山ありました。部活の仲間が次々に描く場所を決めていき,スポット選びに焦っていた私ですが,ふと1つ素晴らしい魅力を持った景色を見つけました。それは,誰も住んでいなさそうな古民家でした。外観はもはや廃屋で,黒や青のビニールシートで窓も閉ざされているような建物でした。

 私はすぐにそれを描こうと決心しました。尾道にはこのような古い建造物が立ったままになっています。近代化されていないこのような茶色気のある街並みも尾道の魅力の1つだと思います。「絵の街尾道」の魅力を描くことができ,とても達成感を感じられる3日間になりました。



⑤『尾道を描く』 熊野高校 3年 平佐想乃佳

 私が描いた尾道の風景は,商店街にある家々です。その場所は,他の場所と比べると目立たない印象でしたが,どことなく魅力を感じる場所でした。この雰囲気を表すためにも,まず「きれいに描かない」ということを目指しました。落ち着いた色を持っている家々をきれいで,鮮やかな色で描いてしまえば,その場所の魅力が失われてしまうからです。その分,沈んだ色合いの中にもどこか美しさを表現することに努めました。

 外は暑く,ずっと描いていることがつらく感じることもありましたが,尾道の人々が声をかけてくださったことで元気に制作できました。尾道の人々の温かさを感じました。「尾道の色をよく引き出しているね。」と言葉をかけられたことが一番うれしかったです。

 私は惜しくも入選できませんでした。しかし,実際に尾道の中で風景を描いたことで,尾道の良さを実感することができ,貴重な体験になったと感じています。



⑥『初』 市立福山高校 2年 安藤瑠那

 初参加,初油絵だった私にとってこの3日間は過酷に思えました。最初のイメージではどれだけ風景を美しく再現できるかの戦いかなと漠然と思っていました。しかし現実には「精神力」が試されたように感じました。私は諸事情で途中参加でした。それに思いのほか日差しが強くて2日目は心身ともに苦しかったです。一方,ただしんどかっただけではなく,様々なことを学びました。

 一つ目は技法です。油絵独特の風景の捉え方,表現の仕方が新鮮でした。まず単色で色を全体に塗ることでより絵に深みがでることが不思議でした。またペインティングナイフを用いる技法も学びました。

 二つ目は前述したとおり,「精神力」をいかに付けられるかです、1日中完全に絵と向き合うことのむずかしさを感じました。

 帰宅してすぐ絵を描いてみました。すると画力の向上に気が付きました。自然と絵を身に付けられる貴重な体験になりました。



⑦『初めての尾道と写生大会』 総合技術高校 1年 林穂乃里

 私は今回初めて,写生大会に参加しました。限られた時間の中,外で風景を描くというのは今まで一度も経験したことがなく,思っていた以上にハードな3日間でした。私が,この写生大会で学んだことの中で,一番印象的なのは,見たそのままの風景をただ絵にするだけではなく,自分がその風景から感じ取った雰囲気を様々な色で表現していくのが大切ということです。雰囲気は目に見えないので,とても難しかったのですが,自分なりに表現できるよう頑張りました。

 先生方がとても良いアドバイスをたくさん下さって,自分が成長できた3日間だったと思います。今回の反省点は,描くペースが遅かったために,納得ができないまま出品してしまったところです。来年も参加して,この3日間で学んだことを生かし,納得のできる作品を仕上げられるように頑張ろうと思います。



⑧『尾道を描く』 尾道商業高校 3年 倉持吉乃

 私はこの大会に参加して,尾道の風景の美しさを改めて感じることができました。私は尾道に住んでいるので,尾道の風景はいつも見ていて,見慣れている景色でした。その見慣れている景色でもじっくりと見ようとしたこと今まででなかったで,この大会で尾道をしっかり見ることができたのは,よかったと思います。私は尾道の海や山などの自然と街並みのバランスが好きなので,海も山も空も街も描ける場所を選び,描きました。海の色を少しカラフルにしたり,空にもいろんな色味を加えてみたりして,できるだけ明るい絵にしようと思って描きました。尾道を描くのは初めてだったので,どんな風に描けばこの尾道の良さが伝わるのか悩みながら描きました。1日目も2日目も3日目も暑くて大変でしたが,集中して描くことができてよかったです。3年生になり,初めてこのような大会に参加したのですが,良い思い出になったなと思います。



⑨『いろんな言葉』 庄原実業高校 1年 松村千尋

 私はこの写生大会に出てよかったなと思いました。なぜなら自分だったら気付けないことを他の人に気付いてもらえたり,教えてもらえたりしたからです。私は風景を描く経験が浅いので,気付けないことがたくさんありましたが,見落としていることを周りの人,先生から教えていただき,いろんな視点を知り多くの経験をすることができました。難しくて大変だなと思っていたことも,中には分かってよかったと思うものがあったので,よかったなと思いました。通りがかった人が,「大丈夫」「暑いね」と声をかけてくださるので、やる気がでて,集中することもできました。民宿で過ごす時も,優しい方がたくさんいたので,心地よく過ごせてよかったです。他の生徒の作品は形をさまざまな方法で,それぞれちがった描き方で描いていて,とても素敵だったので,賞を取ることはできなかったけれど,多くの経験をすることができたのでとてもよかったです。



⑩『充実した3日間』 因島高等学校 1年 須山支央里

 私は,今回初めてこの大会に参加しました。

 今までに風景画もアクリルもしたことがなかったので,迷ったりすることも多かったです。大会が始まるまで,不安が大きかったです。初めてアクリルを使って,すごく早く乾くのを感じました。また,上から色が重ねられるのでそういうところも良いと思いました。でも,やっぱり上手く使いこなせなくて,悔しいと思うことが多かったです。そんな中商店街を通る方々や,近くのお店の方々に「上手だね」と声をかけていただいたり,椅子の代わりのクッションを持ってきていただいたり,とても嬉しくて頑張ろうと思えました。

 大会で,風景画やアクリルの面白さや楽しさを知ることができただけでなく,尾道の人の温かさも感じることができて,今まで以上に尾道が好きになりました。とても充実した3日間で今後に生かしていけるよう頑張ろうと思いました。



⑪『第22回尾道を描く写生大会に参加して』 三次青陵高校 1年 長谷倖希

 私は今回初めてこの写生大会に参加しました。泊りがけで行う大会はどんなものなのだろうという期待で一杯でした。現地へ着き,開会式を終え,まず美術館を見学しました。忍たま乱太郎展ということで,忍たま乱太郎について,その他忍者が使用していたものなどが展示してありました。見学を終えて場所選びにいきましたが,あまり訪れたことの無い地でしたので,悩みました。悩み迷うほど,尾道の景色はどこを見ても絵になると思いました。悩みに悩んだ結果,私は路地を描くことに決めました。民宿へ行き,他校の先生に講評して頂き,その課題を宿や現地で修繕していきました。最終日は天候が心配されましたが,終わりに近づくに連れて天候も回復を見せ,良い天気になりました。この写生大会では,結果は残せませんでしたが,様々なものを教わりました。それは,技術以上にも,現地の方々の思いやりなどです。人が街を作ることの意味を改めて教わりました。