第76回広島県高等学校総合体育大会ポスターバッジデザインコンクールの受賞結果を掲載しました。
油彩・彫刻から自由表現作品まで、創意工夫をこらした独創性豊かな作品を審査するコンクールです。
第23回広島県高等学校絵画彫刻コンクールの受賞結果を掲載しました。
第48回広島県高等学校総合文化祭のポスターコンクール審査結果を掲載しました。
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第23回絵画彫刻コンクールは、審査委員でもある三根和浪先生のご厚意で、広島大学の大学会館ロビーと大集会室をお借りして実施しました。ここ数年出品作品は増加傾向を続けている本コンクールですが、今年は色彩や画面構成の力を意識した絵画作品も増加し、より制作の幅が広がった様子です。描き込みから伝わる熱意に加えて、伝えたい風景や残したい思いを持って、画材や構図にこだわった作品が評価されたように感じられました。
審査当日は、美術教育を志す大学生が搬入出や審査補助としてボランティアに参加してださいました。高校生の熱意ある作品を眺めることや、美術教諭の仕事を見学することを通して、高校美術に関心を深めた学生もいたようです。大学見学にも協力していただき、我々が進路指導の知見を深める貴重な機会ともなりました。
コンクール運営委員長 伊地知 鈴佳
(広島県立観音高等学校)
審査会場には独創性に優れた作品が並び、特に絵画部門の賞を決める際は大変時間を要した。そのためか私の記憶の中ではその作品の作者に会って話をしたような感覚が残っている。それはミケランジェロにもダビンチにも会ったことがないのに、彼らが私の人生に影響を与えていることと似ている。今回の審査を通じて、作品には作者の思考や人格が宿ることを実感した。制作のために必要な技術を身に付け、専門性を高めていくことは質の高い作品を制作していくためには勿論重要なことだが、同時に知識や考察を深め、人間的な成長が作品に説得力や芸術的な深みをもたらすことも間違いないことだと思う。絵を描くこと、彫刻をつくることから、今後さらに作者の人格が磨かれていくことを願う。
コンクールは、美術に向き合う同世代がどのような発想を持ち、どのような視点でどのような作品をつくりあげているかを知る絶好の機会だろう。他を見て自己を相対化し、「ワタシ」の価値を発見することができる。今年度、平面部門、立体部門、どちらの部門にも完成度の高さと大きな熱量を感じた。とりわけ受賞作品、入賞作品はどれも見事で、どの作品がどの賞になってもよいくらい僅差であったことを記しておきたい。ポスト・コロナの学校生活で作品とにらめっこしている姿が、作品を通して見えてくる。
美学者今道友信先生は、藝術について「物質の条件の配置転換による価値付与」であるという。この指摘を踏まえれば、高校生はただ描いたりつくったりしたわけではない。表したいモノやコトを表すため、物理的に存在する形や色彩、材料や空間に、「ワタシ」というこの世でたった一つの感性のフィルターを通して独自の価値や意味を与え作品化している。だから彼らの作品を見たとき、私たちはつぶやきや音を聴き匂いを感じる。そう、彼らのアートは「想像力の発生装置」として私たちに問いかけている。
生徒の皆さんへ
審査後、県総文美術工芸展を見に行き、今年も会場を写真に収めて帰りました。10年くらい前からのほぼ毎年の写真があります。その写真を見返してみると、同じようなスタイルの作品が伝統のように連綿とあります。今回も例外ではありません。例えば人物や静物の一部を画面いっぱいにアップで描いた作品。遡ると20年くらい前からあります。それは先輩や友達の作品、他校のインパクトのある作品に影響を受け、それが受け継がれるからだと思います。でも、そのことは良いことです。配色や構図、表現の方法など技術的なことを学んで受け継いでください。しかし、自分が一番表したいと思う核心の部分だけは、人の作品からは学べません。自らが見聞きしたことや感じたことを基に考えるしかありません。そして、そうすれば個性的な良い作品が自然に出来上がります。来年の県総文美術工芸展でそういう作品に出会えることを楽しみにしています。
今回で22回目を迎えた本コンクールは、この度、比治山大学短期大学部美術科のご協力をいただき、比治山大学3号館のラーニングスペースと会議室を会場に審査を行いました。
出品作品は平面237点、立体29点と最多を更新し、出品校も年々増加を続けています。昨年度のハイレベルな作品を見て学んだ生徒たちの作品は、ジャンルも幅広く力作ぞろいで、審査される先生方も悩みぬいて審査をしてくださいました。
審査当日には、審査とともに3号館や美術科の設備を見学させていただくプログラムを実施しました。ありがとうございました。
コンクール運営委員長 伊地知 鈴佳
(広島県立観音高等学校)
「絵画や彫刻のような芸術表現は、作品が直接言葉を発するわけではないけれども、作者の思いや考えを言葉以上に伝えることが出来る」。今回の審査を通じて、私はそのことを強く感じた。
絵画部門の大賞を受賞した「稚拙」、県教育委員会賞の「百歳」、文化連盟会長賞の「憧れ」、PTA連合会会長賞」の「刺朱」をはじめとした多くの作品には、自身の苦悩や家族への感謝、夢や憧れの気持ちが込められており、作品から普段言葉に出せない作者の心情が伝わって来た。彫刻部門も同様に、大賞の「彷徨の機鯨」をはじめ、上位賞の「とまった刻」、「本能」、「もがけ」に代表されるように、形や素材を工夫しながら自身の美意識や思考を彫刻作品として表現していた。
当然のことながら、絵画でも彫刻でも思いを形にすることは簡単ではなかったはずである。長い時間をかけて自分なりの表現にたどり着いた試行錯誤の痕跡をそれぞれの作品から見て取ることが出来た。
「言葉では伝えられない思いを作品で伝える」。あらためて素晴らしいことだと思う。
インスタレーションは空間に作品などを設置する芸術のあり方の一つで、場所や空間を変化・異化させて全体を作品とみなす手法だ。空間芸術や設置芸術ほかの訳がある。
審査会場に入った瞬間、どの作品をみるでもなく「インスタレーションだ!」と呟いてしまった。並べられた応募作品によって、通常から変化・異化させられた空間の中に放り込まれたような感覚が瞬時に湧き起こったからだ。応募された作品はもちろんどれも別々の作品なのだが、個性的・個別的な「圧」を発し、それが総体として空間に働きかけ能弁に語りかけてくれたのだ。印象的だったこの瞬間を記しておきたい。
入賞・入選作品はなかでも確かに雄弁で、形や色彩、材質感、空間感ほかの造形要素を効果的に使って発想や技能の完成度が高かった。平面作品からは、エネルギーや愛おしさ、イドや眼差しを強く感じた。立体作品からは、時間や時代、空間や異空間、音やゆらぎを強く感じた。いい作品を見せてもらった。有り難う(difficult
to be)。
今回、密度のある力作揃の作品を前に、たいへん楽しく悩ましく審査をさせて頂きました。アカデミックで力強い表現力を持つ作品から、色彩豊かな心象的な表現や、CGとの融合のような現代的な作品まで色とりどりで、個性に溢れる作品ばかりで、いざ審査をというとあちらもこちらも良いと迷うことが多々あったというのが実情でした。大賞がひとつではなく10個くらいあればというのが感想でした。
あらためて今回の審査をさせていただいて、美術に取り組む高校生と美術担当の先生方の情熱と姿勢を直接ダイレクトに感じられ、広島の美術の未来は明るいなと感じたところです。
今回で21回目を迎えた本コンクールは広島市立大学芸術学部棟内を会場に行われました。比治山大学、広島大学に次いで大学開催も今回で3回目となりました。出品作品数は記録を取り始めた過去7年で最多となり、昨年度を大幅に上回る点数となりました。また、両者とも応募規定サイズの上限となる大型作品が目立ち、コロナ禍による活動自粛によって点数・サイズとも萎縮化が懸念された昨年度よりも熱量が高い力作が多数揃った印象です。
午前中は搬入された作品の受付が済んだのち、芸術学部各専攻のアトリエ、工房等を見学させていただきました。
コンクール運営委員長 田中 秀樹
(広島県立三次中学校・高等学校)
審査に際し、絵画と彫刻の作品が並べられたそれぞれの審査会場に足を踏み入れた時、その空間が発する若い感性に感動を覚えた。そこに出品している生徒達は高校入学時には既にコロナ禍にあり、マスク着用等の様々な制限の中での制作であったと思うが、それぞれの想いを創作に向けた結果が我々審査に携わるものにも新鮮な感動を与えてくれた。
彫刻の審査においては、大型の作品が目立ち、特に大賞となった「ATORIENPITU」をはじめとしたいくつか作品は、構想から完成までの行程を最後までやり切った、大変レベルの高い作品であった。また、小型の作品にも素材を生かす工夫と造形的豊かさを見出すことができた。
絵画作品は、例年に比べて多数の出品があり優れた作品が多かったため、入選作品を選ぶ際にも賞を決める際にも大変苦労した。大賞となった「再生」をはじめとした入賞作品は、いずれも観察力、描写力、構成力にすぐれた秀作である。
今回の絵画彫刻コンクールの作品は、全体として高いレベルにあったと思う。今後も、出品者それぞれが自分の感性に磨きをかけて次の作品を展開してほしいと願う。
英語の「アート」はラテン語のアルスに由来し,ラテン語のアルスはギリシャ語のテクネー,つまり技に由来する。現代では,作品をつくる「技」に止まらず,独自の「発想」や「こだわり」ほかのみられる作品やパフォーマンスなども含めて「アート」と呼ぶことが多い。そこには必ず「スゴイ!」,つまり鑑賞者の心や気持ちを動かす「何か」がある。
この視点で今年の作品を振り返ってみる。確かに「アート」だった。審査会場に足を踏み入れた途端,作品から発せられる「圧」に少しのけぞり,「スゴイ!」。力作揃いで笑顔になった。作品が雄弁に語りかけ,ワクワクドキドキの時間に浸りきった。絵画作品も彫刻作品も,繰り返し構想を練ったのだろう。つくりながら手で考え試行錯誤したのだろう。自分のイメージを丹念に重ねた「技」,「発想」,「こだわり」が心を揺さぶる完成度だった。コロナの時代にこれを乗り越え,さらなる追究でよりよい作品を生み出す君に期待している。
以前、年配のデザイナーから、「自分たちが本当に驚かされるのは、優れたデザイナーの作品ではなく、中高校生の感性豊かな作品なんだよ。」と聞いたことがあった。
今回の審査では、制作者の豊かな感性と共に、作品から明確なねらいが感じられるものを中心に次のような作品を選んだ。
・対象をしっかりと見据えてデッサンされた写実性の高い堅牢な作品
・自分が特に感じた対象を追求したものや、表現したいイメージに向かって、表現を深めた雰囲気のある作品
・効果的な表現技法や、見る視点を変えた構図・構成などを工夫した作品
今後は、新しく勢いのある表現を求めて、アカデミックで技術至上主義的なものだけに拘らず、技術を凌駕するようなコンセプトや発想をもったものづくりへの挑戦を期待したい。
出品校数・点数は昨年度と同等。昨年度同様に,コロナ禍での実施とあって各校,部活動の時間短縮あるいは中止などで十分な制作期間が確保できない中ではあったが,完成度の高い良作が集まったように思う。
今年度の開催会場は,広島大学(東広島キャンパス)となった。大学開催の目的の一つに,美術教科の教師を目指す大学生のボランティア参加がある。昨年度,比治山大学ではコロナ禍の状況を受けて大学生の募集を見送ったため,今回が初めての募集となった。事前の呼びかけによって約10名の学生が参加した。審査を除く,会場設営や作品運搬等の一連の運営作業の手伝いや交流などを通して,教師の仕事について学び,高校生の力作を間近で鑑賞する機会となった。また,キャンパス視察を兼ねたことで,参加した高校教員においても進路指導に役立てる機会となった。
従来のコンクールが担う役割を越え,大学生や高校美術教師の育成の場を兼ねた付加価値をもたせた事業とすることができた。
以下,審査後に審査員からいただいた総評を紹介する。
伊東敏光 教授 (広島市立大学芸術学部長)
この会場に入ったときにいつもと印象が違って驚いた。普段,構図・明度・彩度の3点で作品を見るが,入賞した作品はどれも描き込んでいて,完成度が高く全国レベルだと感じた。彫刻は,制作するのに設備も必要で質感や明度,彩度を使いこなすのが難しく,理論の積み重ねが必要。何らかの形で高校生に彫刻を理論から学べる機会を設けたい。
三根和浪 准教授 (広島大学教育学部)
今回もコロナ禍により制作時間が少ない中,すべての作品が自分と向き合いながら制作しているように感じた。今回の作品にはいくかのレパートリーが見受けられた。一つ目が何気なく目にとまった風景をしっかり描き込んでいるもの。二つ目が風景に自分の想像を加えているもの。三つ目が色・形などの造形要素を視覚実験のように配置し鑑賞者に挑んでくるようなもの。各校の先生方が個性を伸ばすような指導をされているのが伺えた。さらに,本コンクールのように各校の先生同士で作品などについて共有できる場があることも見ることができて良かった。
掛田敬三 先生 (元高等学校美術教諭)
普段,美術館で鑑賞する作品は大人の作品で,どこか媚びているように感じられるが,高校生の作品はストレートに自分自身のことを伝えてくるので,とても楽しむことができた。個性豊かな生徒に,各学校の先生方がどのような指導をされているか知りたい。
コンクール運営委員長 田中 秀樹
(広島県立三次中学校・高等学校)
安芸府中 1年 竹田遥夏
広島中等教育 2年 大下純
市立沼田 1年 山澤緑咲
本コンクールの開催は,県総文祭美術・工芸展の会場(県立美術館)にて実施していましたが,今年は,会場に程近く新校舎の建設工事が進んでいる比治山大学の学生会館ホールをお借りしてのコンクール審査となりました。コロナ禍の影響で大幅な規模縮小になると懸念されましたが,総出品数は減少したものの,平面の50号サイズや立体の大型作品は例年より微増となりました。
閉会で各審査員からいただいた総評を一部抜粋して紹介します。
「初めに作品を目の前にしたとき,新型コロナウイルスでの臨時休校の影響で,作品の描き込みが足りないように感じました。しかし,だんだん作品を見ていくうちに,生徒一人ひとりの美意識が感じられました。最初は,モヤモヤしていましたが,だんだんと良さが見えてきました。」(伊東教授)
「最初,描き込みがどうだろうと不安になっていました。しかし,形・色・材料のこだわりを強く感じました。新型コロナウイルスでの臨時休校の影響で制作時間の少ない中,良く制作していたように感じます。入選作品から強いエネルギーを感じました。ただの絵具の羅列ではなく,絵からエネルギーを強く感じました。見ていて,ワクワクしました。」(三根准教授)
「内容が充実した作品を沢山見ることができました。年齢を重ねるごとに作品について分かることもあるが,年々分からなくなって来ていて最近は感覚で作品を選んでいます。」(木本教授)
コンクール運営委員長 田中 秀樹
(広島県立三次中学校・高等学校)
11月12日(火)広島県立美術館県民ギャラリーにて作品審査が行われました。
今年の審査は、昨年に引き続き、広島市立大学芸術学部長の伊東敏光教授(彫刻)、同大学の藁谷実教授(日本画)、元広島県高校美術教諭の掛田先生(油画)に、造形芸術教育学を専門とされる広島大学の三根和浪准教授が新たに加わった4名の審査員に作品審査をしていただきました。
今年の出品総数は昨年と比較して27点増の207点となりました。内訳は、絵画部門179点、彫刻造形部門28点、自由表現部門0点でした。過去5年間の推移をみると減少傾向でしたが大幅な回復といえる増加となり、審査エリアを大小さまざまな作品が覆い尽くしていました。
審査員からは、高校生なりの着眼点や創意工夫をこらした作品が多数あって新鮮な審査だったという声もいただきました。
コンクール運営委員長 田中 秀樹
(広島県立三次中学校・高等学校)
11月6日(火)広島県立美術館県民ギャラリーにて作品審査が行われました。
今年の審査は,昨年に引き続き,広島大学名誉教授の高地先生,広島市立大学教授(彫刻)の伊東先生の2名と,新たに,広島市立大学教授(日本画)の藁谷先生,元広島県美術教諭の掛田先生をお招きし,4名の審査員に作品審査をしていただきました。
平面・立体分野ともに,独創性に富んだ創意工夫をこらした作品が多く,審査後の講評では審査された先生方からも「毎年楽しみにしている。今年も力作揃いで高校生らしい工夫をこらした作品が数多く出品されていた。」など,お褒めの言葉をいただきました。一方で,現代美術やアートの意義についても言及され,新しい表現の可能性をもっともっと貪欲に追及しつつ,社会に目を向けていくことで見える現状や課題などから作品コンセプトを考えることで,メッセージ性の高い作品づくりを模索することの大切さについても述べられていました。
コンクール運営委員長 田中 秀樹
(広島県立三次高等学校)
11月8日(火),広島県立美術館県民ギャラリーにて作品審査が行われました。
今年の出品作品は,絵画部門・彫刻部門ともに独創的な表現にとんだ作品が多く見受けられ,例年に増して審査員を苦しませた審査会だったと,そんな印象を受けました。審査は,昨年に引き続き同3名の先生方を招き,のべ200点以上の作品を1点1点丁寧に観て厳正に行っていただきました。
今夏に全国総合文化祭が広島で開催され,多くの県内美術部の高校生たちが全国から集まった力作に触れ,また交流などを通して強い刺激を受けて本コンクール出品に向けて制作に励んだことと思います。彫刻部門への出品数が例年より多く,また共同制作による作品も多く出品され,完成度・大きさ・創意工夫すべてにおいて見応えのあるコンクールとなりました。
コンクール運営委員長 田中 秀樹
(広島県立三次高等学校)